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「やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。」から始まる言葉は、『古今和歌集』に添えられた仮名で書かれた序文です。執筆者は紀貫之。
和歌からは、未だ変わることのない心の有り様を感じることができます。切なく移り変わる人の心は、常に私たちを惑わせ悲しみと喜びをもたらします。その喜びと悲しみは、今を生きていることを感じさせる唯一の証なのかもしれません。
今日という日を誠実に生きるために秘めた想いから道を探ってみませんか。あなたにとって今日という日は、どのような日になるのでしょうか。その日を誠実に生きるために和歌を味わってください。

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皆様にとって幸多いことを祈念して、
あなたへの「ことの葉」を伝えます。

今日、あなたに届いた和歌はいかがでしたか。和歌には、不思議な力があります。
感じることができましたか?
「力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。」『古今和歌集』序文から。

ことの葉のうた

最 新 情 報

やまと歌は、
人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。
世の中にある人、事業、繁きものなれば、
心に思ふことを、
見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。

花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、
生きとし生けるもの、
いづれか歌を詠まざりける。
力をも入れずして天地を動かし、
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、
男女の仲をも和らげ、
猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。

この歌、
天地の開け始まりける時より出で来にけり。
しかあれども、世に伝はることは、
ひさかたの天にしては下照姫に始まり、
あらかねの地にしては素盞嗚尊よりぞ起こりける。
ちはやぶる神世には、
歌の文字も定まらず、素直にして、
事の心分きがたかりけらし。

人の世となりて、
素盞嗚尊よりぞ、
三十文字あまり一文字は詠みける。
かくてぞ花をめで、鳥をうらやみ、
霞をあはれび、露を悲しぶ心・言葉多く、
さまざまになりにける。

遠き所も、
出で立つ足下より始まりて年月を渡り、
高き山も、
麓の塵泥よりなりて天雲棚引くまで生ひ上れるごとくに、
この歌もかくのごとくなるべし。

やまと歌は、
人の心を種として、
よろづの言の葉とぞなれりける。
世の中にある人、事業、繁きものなれば、
心に思ふことを、
見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。

花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、
生きとし生けるもの、
いづれか歌を詠まざりける。
力をも入れずして天地を動かし、
目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、
男女の仲をも和らげ、
猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。

この歌、
天地の開け始まりける時より出で来にけり。
しかあれども、世に伝はることは、
ひさかたの天にしては下照姫に始まり、
あらかねの地にしては素盞嗚尊よりぞ起こりける。

ちはやぶる神世には、
歌の文字も定まらず、素直にして、
事の心分きがたかりけらし。

人の世となりて、
素盞嗚尊よりぞ、
三十文字あまり一文字は詠みける。
かくてぞ花をめで、鳥をうらやみ、
霞をあはれび、露を悲しぶ心・言葉多く、
さまざまになりにける。

遠き所も、
出で立つ足下より始まりて年月を渡り、
高き山も、
麓の塵泥よりなりて天雲棚引くまで生ひ上れるごとくに、
この歌もかくのごとくなるべし。